Vol.47 目的を明確にして貯蓄を始めよう
投資や保険など、お金に関する様々な質問や相談に
幅広い分野のプロフェッショナルがズバリ答えるこのコラム。
今回もVol.39、Vol.40、Vol.41、Vol.42、Vol.43、Vol.44、
Vol.45、Vol.46に引き続き、
「大公開！社会人の給与明細とその支出」を取り上げます。
なかなか貯金が出来ないので、 財形貯蓄を導入してみました。
来月から楽しみです。
（25歳男性 入社1年目）
今回は新聞、マネー雑誌、経済誌など様々なメディアで活躍中の
ファイナンシャルプランナー 深野康彦さんに
貯蓄と家計に対するアドバイスをしてもらいました。
深野康彦 プロフィール
有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー
様々なメディアを中心に、個人の資産運用や管理、家計管理や見直しなど、お金に関する啓蒙活動や、新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融データの提供を行っている。
ラジオ日経ファイナンシャルＢＯＸ／木曜日のパーソナリティでもある。
主な著書に『家計崩壊──「見えないインフレ」時代を生きる知恵 (講談社+α新書)』（講談社）などがある。
ごく少数に限られるようですが、
お金を貯めて貯蓄残高を確認するのが
何よりも楽しみという人がいるようです。
人の趣味・嗜好などに異論を述べるつもりはありませんが、
お金を貯めることが目的というのは
何だか寂しい気がしないでもありません。
お金を貯めたいのであれば、
目的を持つことがとても大切なのです。
資産家の家計でもない限り、
大多数の人は社会人になられてから
貯蓄を始めて資産形成を行うはずです。
相談者さんのように、
財形貯蓄などの積立貯蓄がそのスタートになることでしょう。
積立貯蓄には、ウラ技や近道はありません。
地道にコツコツが積立貯蓄の王道なのですが、
時間をかけて地味にお金を貯めて行く分、
忍耐力が必要なのも事実です。
この場合の忍耐力とは、
お金が少し貯まるとすぐ使ってしまわないことです。
貯まっては使い、貯まっては使いでは、なかなかお金は貯まりません。
そこで、何となく積立貯蓄を始めるのではなく、目的を持って積立貯蓄を始めることが大切になります。
人というのは、目的を決めることにより、その目的を為し遂げようと努力するからです。
幸いにして、車を購入するという目的のために今回の相談者さんは貯蓄を始められたようですが、
車の購入という漠然とした目的だけではお金は貯まりにくいのです。
漠然としているというのは、
いつ（時期）、いくらくらいの（車種でもかまいません）
車を買うということが抜け落ちているのです。
これでは、貯蓄に身が入らないはずです。
目先の楽しみ、旅行や飲み会等々で
知らぬ間にお金を使ってしまうことになるのです。
したがって、３年後に２００万円程度のワンボックスカーを購入する
などと目的を明確化してみましょう。
貯蓄を始めたのはいいけれど、
なかなかお金が貯まらないという人も多いようです。
ある程度貯まったところで、
お金を使っていることが原因なのかもしれませんが、
もう一つ考えられるのは家計内に使途不明金があることです。
簡略化して述べれば、昨年１年間の年収から
１年間に使ったお金を差し引きます。
たとえば相談者さんは、年収３１０万円ですが、
仮に毎月の生活費を平均して月２０万円、
年間２４０万円とさせていただきます。
とすれば、３１０万円－２４０万円＝７０万円の黒字。
つまり、１年間で７０万円貯蓄額が増えていれば大丈夫。
７０万円も貯蓄額が増えていないようであれば、
７０万円との差額が使途不明金となるのです。
この使途不明金をなくすことができれば、
貯蓄額が見違えるように増えていくはずです。
使途不明金を捜すためには、
家計簿をつけることをお勧めします。
家計簿といっても本格的なものではなく、
１ヵ月の収支がわかればいいのです。
その際、１円単位までしっかりと
お金の流れを把握する必要はありません。
家計簿で挫折する人は、
大概１円単位まできっちり合わせようとして
続かなくなってしまうのです。
したがって、十円単位未満は数字を丸めてしまうという
自分なりのルールを設けて、家計管理をしていくのです。
この家計管理をすることにより、
無駄遣いをしなくなるなどの副次的な効果も得られるはずです。
前編はこのあたりにして、
後編では積立貯蓄の考え方を中心にお話させていただきます。
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