Vol.51 FXでは値動きの背景を理解しよう
投資や保険など、お金に関する様々な質問や相談に
幅広い分野のプロフェッショナルがズバリ答えるこのコラム。
今回もVol.49、Vol.50に引き続き、
「FXをするなら知っておきたい、
急激な円高ドル安、そのカラクリと対応」を取り上げます。
ところが、昨年後半からドル安が急激に進んだため、
相場のスピードについていけず、損をしてしまいました。
ドル安の原因といわれているサブプイライムローン問題によって
アメリカの景気も悪くなりそうだという見方もあり、
私の理解の範疇を超えて、
話の規模がどんどん大きくなっているような気がします。
今回の円高ドル安の背景の解説と、
今後FXで取引をするにあたってのアドバイスを
いただけないでしょうか。
(30代 男性)
今回は個人投資家向け情報提供会社 『エフエックス ニュースレター』代表の
国際金融ジャーナリスト 斎藤登美夫さんに答えてもらいました。
斎藤登美夫 プロフィール
約13年間の為替専門誌記者生活を経て2004 年に独立。
個人投資家向け情報提供会社
『エフエックス ニュースレター』を設立し、現在はその代表。
またインターネットの為替テレビ
「FOREX TV(無料)」を運営する
『etvMEDIA・ジャパン株式会社』の代表取締役も兼ねる。
24時間為替情報サービス『MARKET WIN 24』への情報提供のほか
レポート配信、セミナー講師などでも活躍中。
FOREX TV http://www.forextv.jp/
FOOREXのブログ http://fx-blog.jp/saito/
昨年後半からの為替市場は、
10年に一度の大相場と言われるほど大きく動き、
急激な円高ドル安が進行しました。
今年の3月には1ドル=100円を割り込みましたが、
これは実に13年ぶりのことです。
そうしたなか、
FX取引で損失を被ってしまった個人投資家の方は
少なくないと聞いています。
(かく言う私も、何度かヒヤリとした場面がありましたが・・・。)
同じような失敗を繰り返さないためにも、
今回の値動きの背景を理解し、
それを今後の取引の役に立てることは非常に重要です。
では、昨年後半から急激にドル安・円高が進行した理由は
何だったのでしょうか?
その発端となったのが、米国のサブプライムローン問題です。
ちなみに、テレビのニュースなどで様々に報じられているのでご存知の方も多いと思いますが、サブプライムローンとは低所得者など(サブプライム層)への住宅融資のことで、本来なら貸し出し基準を満たさないような人にも広く融資されたものでした。
しかし、2006年頃から米国の住宅価格はピークアウトし始め、ローンを支払えなくなるサブプライム層が続出。
さらに、個人だけでなく、
金融機関までもがサブプライムローン関連で
巨額の損失を計上する事態に陥り、
金融市場は一時パニックとなりました。
なかには国有化されたり倒産したりする
大手の欧米金融機関もあったほどです。
このような金融不安や米国の景気後退に対する懸念が、
ドル急落の大きな要因だったと言えます。
また、市場ではリスクを回避しようという動きが強まり、
円キャリートレードを巻き戻す動きが活発に見られました。
(円キャリートレードとは、超低金利の円を売って
高金利通貨で運用する取引手法で、
昨年後半までの円安を加速させていたもの。
つまり、円キャリートレードの巻き戻しは、
円買いということになります。)
それにより、急激な円高が進行したというわけです。
3月中旬に1ドル=95円77銭をつけて以来、
ドル/円相場は徐々に落ち着きを取り戻し
105円手前まで値を戻しています(4月25日現在)。
市場では、「金融市場の混乱は収束に向かっている」といった
楽観的な見方が出始めているのも事実です。
確かにサブプライムローン問題について、
ヤマを越えた感もありますが、
まだ予断を許さない状況が続くと個人的には思っています。
その最大の要因は、サブプライムローン問題に端を発した
米国の景気後退(リセッション)入りの懸念です。
また株式市場と為替市場の連動性も高い状況ですので、
株価が再び下落に転じるようだと、
為替市場においても円高・ドル安が進行する可能性は
ゼロとは言いきれません。
FX取引をするうえで重要なのは、
常に不測の事態に備えておくことです。
次回は、取引をされるうえでの注意点を含めて、
説明しましょう。
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