Vol.70 FXの短期取引は情報量で通貨を選ぶ
投資や保険など、お金に関する様々な質問や相談に
幅広い分野のプロフェッショナルがズバリ答えるこのコラム。
今回も前回に引き続き、
「FXはどの通貨から取引をはじめるべきですか?」
を取り上げます。
先日、口座を開設したFX業者では
ドルやユーロだけでなく、ポンド、オーストラリアドルなど
さまざまな通貨が取引できるようです。
常識的に考えれば、一番なじみのある
ドル円の取引からはじめるべきなのかもしれませんが、
スワップポイントを見ると他の通貨でも取引をしてみたくなります。
ぜひ、専門家の皆さんからのアドバイスをお聞かせください。
(30代 男性)
今回は新聞、マネー雑誌、経済誌など様々なメディアで活躍中の
ファイナンシャルプランナー 深野康彦さんに答えてもらいました
深野康彦 プロフィール
有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー
様々なメディアを中心に、個人の資産運用や管理、家計管理や見直しなど、お金に関する啓蒙活動や、新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融データの提供を行っている。
ラジオ日経ファイナンシャルBOX/木曜日のパーソナリティでもある。
主な著書に『家計崩壊──「見えないインフレ」時代を生きる知恵 (講談社+α新書)』(講談社)などがある。
FX(外国為替証拠金)取引で収益を得る方法には、
「為替の売買益を積極的に狙う」、
「2国間の通貨の金利差を得るスワップポイントを狙う」
という2つの方法があります。
どちらの取引を行って収益を狙うかで、
取引する通貨を選んではいかがでしょうか。
たとえば、為替の売買益を積極的に狙うのではあれば、
FX取引の特徴の1つであるレバレッジを活用して
短期的な売買を行うケースが多いと思われます。
この短期売買では、情報が収益を左右する生命線と言えそうです。
レバレッジを活用することにより、
短期間で高収益を得られる反面、
短期間で大きな損失を被る可能性があるため、
ときには情報を瞬時に把握して取引する必要が出てくるからです。
さらに、得られる情報が多ければ多いほど、
取引するチャンスも増えると思われるからです。
情報量が多い、この場合は
情報を入手しやすいと読み換えてもよいかもしれません。
情報量では他の通貨を圧倒しているのが「米ドル」。
米国におけるさまざまな経済指標が
毎週のように発表されているのです。
また、米ドル/円の取引であれば両国間の金利差も1.5%。
FX取引の魅力である円高・円安どちらを予想する取引でも、
スワップポイントを他の通貨ほど
気にする事なく行うことができると思われるからです。
FX(外国為替証拠金)取引で収益を得るもう一つの方法、
所謂スワップポイントをコツコツ得ていくのであれば、
2国間の金利差に着目してみてはいかがでしょう。
高金利通貨といわれる、オーストラリアドルやニュージーランドドルなどを選んでみてもよいかもしれません。
ただし、前記の2通貨よりも高金利である、南アフリカランドやトルコリラなどの新興国の通貨については慎重になる必要があるかと思います。
前半部分で述べた情報量(情報の入手のしやすさ)が極端に少ないため、為替の急変に対応できない可能性が高いのです。
スワップポイント狙いなので、
「為替の変動は短期取引ほど注意しなくてもよいのでは?」
と思われるかもしれませんが、
新興国通貨は先進国通貨と比較して実需が少なく、
かつ市場規模が小さいため為替の振幅は大きくなっています。
思わぬ為替の変動で、
証拠金が大きく棄損してしまうこともありえるのです。
また、新興国は
私たちが想像しえないカントリーリスクを内在しています。
たとえば、南アフリカは同国内の議員選挙の結果によって、
'08年春先に急激に売られたケースがあったのです。
筆者も選挙結果を知ったのは、
為替が大きく動いたあとだったのです。
仮に新興国通貨の取引をするのであれば、
こんなリスクを承知の上で取引をしてください。
なお、スワップポイントをコツコツ得て行くのであれば、
投資スタンスは中・長期間となるはずです。
ストップロスオーダーになるべく引っかからないように、
レバレッジはせいぜい2倍程度に抑えておくほうが賢明でしょう。
・短期売買では情報量、読み換えれば情報の入手のしやすさが鍵。
・スワップポイト狙いでは2国間の金利差にまず注目しよう。
・新興国の高金利通貨は思わぬカントリーリスクあることを忘れずに。
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