Vol.20 しっかり自衛で保険金不払いを防ぐ
投資や保険など、お金に関する様々な質問や相談に
幅広い分野のプロフェッショナルがズバリ答えるこのコラム。
今回も前回に引き続き
「保険が請求漏れにならないための注意点を教えてください」について
ファミリーリスクコンサルタントとして
家計のリスク管理について豊富な相談実績を持っている
ファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さんに答えていただきました。
豊田眞弓 プロフィール
ファイナンシャルプランナー
ファミリーリスクコンサルタント
「マネーカウンセリングネットWealth」を基盤に
個人相談業務を行うほか、マネーコラムの寄稿、
記事の監修、講演などで活躍。
保険、住宅ローン、教育資金、資産運用など、
広く家計のリスク管理をテーマとしている。
ライフワークとして子どもの金銭教育にも携わる。
前回は保険不払いの実際と原因を見てきました。
今回は、それらを踏まえての、対処法についてです。
昨年の調査結果を受けて、
その後、保険会社で対応に乗りだしたところもあります。
たとえば・・・
セールス担当者が改めて契約者を訪ねて
契約内容の再説明を行ったり、
ご契約のしおりやホームページほかで、
請求に関する情報もよりわかりやすく示すように改善したり、
請求に対する審査を客観的に行うための第三者機関を設置したり。
また、生命保険協会の苦情・相談体制も整備されたほか、
失効返戻金問題については、自動返金の仕組みを
導入するところも現れています。
今後しばらく、保険会社は信頼回復のため、
積極的に改善策を打ち出してくるとみられています。
とはいえ、保険会社の改善を待つだけでは十分ではありません。
不払いに遭わないためには、次のようなことで
自衛を図っていくことも大事です。
まずは
1.保険はなるべくシンプルに、理解できる商品に加入すること。
新規加入時だけでなく、見直し時にも同じことが言えます。契約者が請求できると知らずにいた「不払い」も多いわけですから、「リスクに合わせて加入する」という原則から考えると本当に必要な保障なのか疑問です。必要保障に絞りこむのも手です。
そのうえで、
2.自分の加入している保険をよく知ること。
どんなケースで支払われ、どんな状況で支払われないかを
確認してメモを作っておくと安心です。
加入後であっても、セールスの担当者や通販なら
電話の専用窓口で質問し、納得できるまで説明を受けましょう。
たとえば、ガン保険には保障が始まるまでの
「待ち期間」が設けられていることや、
三大疾病保険・特約は、ガン以外の急性心筋梗塞や脳卒中では、
「急性心筋梗塞で最初の医者の診断から
60日以上正常に働けない状況が続いている」、
「脳卒中で60日以上後遺症が継続したと診断された」などを
支払いの対象としているものがほとんどです。
契約をしているのであれば、
そうした条件なども押さえておく必要があります。
さらに、
3.家族に自分が加入している保険契約の内容を
伝えておくことも重要です。
また、
4.指定代理請求人の利用も考えましょう。
それに伴い、ガン保険や三大疾病保険などに入る時に、
「もし、ガンと分かったら告知をうけるか否か」を
家族の間で決めておきましょう。
「自分は告知を受けたくない」なら、
指定代理請求人を設定しておけば、
代わりに指定されたご家族が保険金を請求できます。
保険会社に制度があれば手続きは簡単ですし、
費用もかかりません。
5.告知義務違反関連の問題については、
個人としてできることは、
正しく告知をして加入するのみです。
その他、
6.引っ越した場合などに、住所変更を保険会社や代理店に届け、
連絡が途絶えないようにすることも大事です。
そして最後に、
7.請求などで納得のいかない場合は、妥協しない。
契約内容に従って請求したのに支払われないという場合は、
なぜ支払われないのか、納得いくまで説明してもらいましょう。
生命保険協会内（http://www.seiho.or.jp/contact/guide.html）にも
相談を受けられるところがあるので、
外部の意見を聞くのもいいでしょう。
コストをかけて「買っている」保険ですから、
いざという時に効果的に活用できるよう、
上手に付き合っていきたいものですね。
・昨年の調査結果を受けて、保険会社も対応に乗りだしています。
・しかし、保険会社の改善を待つだけでは不十分で、自衛が必要。
・「自分の加入している保険をよく知る」など、いくつかの対策で自衛しよう。
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