Vol.48 積立貯蓄の心構え、教えます！
投資や保険など、お金に関する様々な質問や相談に
幅広い分野のプロフェッショナルがズバリ答えるこのコラム。
今回も前回に引き続き
「大公開！社会人の給与明細とその支出」について、
新聞、マネー雑誌、経済誌など様々なメディアで活躍中の
ファイナンシャルプランナー 深野康彦さんに
貯蓄と家計に対するアドバイスをしてもらいました。
深野康彦 プロフィール
有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー
様々なメディアを中心に、個人の資産運用や管理、家計管理や見直しなど、お金に関する啓蒙活動や、新聞・マネー雑誌、経済誌などへの執筆・取材協力および金融データの提供を行っている。
ラジオ日経ファイナンシャルＢＯＸ／木曜日のパーソナリティでもある。
主な著書に『家計崩壊──「見えないインフレ」時代を生きる知恵 (講談社+α新書)』（講談社）などがある。
前回でも述べたように、
積立貯蓄の王道は地道にコツコツ。
ウラ技や近道、あるいは逆転満塁ホームラン
というような起死回生もありえないことを
肝に命じてください。
このため、積立貯蓄を始めるためには、
それなりの準備が必要になります。
その積立貯蓄の心構えをこれからお話しましょう。
【心構えその１】あれこれ悩まずにまず始めることが大切
相談者さんは財形貯蓄を始められたようですが、
現在ではさまざまな金融機関が
積立貯蓄（積立商品）を取り扱っています。
したがって、どの商品がいいかや、
どこの金融機関で始めたらいいか等々、悩まれるでしょうが、
積立貯蓄というのはお金を貯めるための手段であって、
お金を増やすための手段にはなりにくいものです。
このため、現在のような低金利下においては、どんな商品を使っても、またどこの金融機関で始めても大きな差がつくことはほとんどありません。
悩めば悩むほど、積立を始める時期が遅くなってしまい、結果として目標額に到達する時期も遅れてしまうので、１日でも早く始めることが最も大切なのです。
積立を始めたあと商品や金融機関の比較をして、積立途中で商品や金融機関を変えたとしても、預貯金で積立をしている限りは元本割れはありません。
また、預け入れてからの利息額も
スズメの涙程度にしかならないのです。
積立貯蓄は地道にコツコツ、
言い換えれば「継続は力なり」ということなので、
積立貯蓄を細く、長く続けることがとても大切になります。
したがって、
【心構えその２】手間隙かけず積立貯蓄ができるシステムを利用する
ことも大切な要素なのです。
相談者さんのように、勤務先に財形貯蓄などの
給与天引きから積立貯蓄ができるシステムがあれば、
それを最優先に利用しましょう。
給与天引きによる積立貯蓄のシステムがなければ、
お給料が振り込まれる口座がある銀行の自動積立定期預金などを
利用されるとよいはずです。
ポイントは、お給料が振り込まれる日と、
積立貯蓄に振り替えられる日を近づけることです。
たとえば、給料日が２５日で、
積立貯蓄への振替日が翌月の２０日であれば、
その間にお金をすべて使ってしまうこともありえるからです。
そして、３つめの心構えです。
【心構えその３】無理な金額で始めない
今まで積立貯蓄などをしたことがない人ほど、
肩に力が入ってしまい無理な金額で
積立貯蓄をスタートさせて、数ヵ月後にお金が足りなくなり、
積立貯蓄を取り崩してしまうケースが多いのです。
これでは何のための積立貯蓄かわかりませんし、
またお金はなかなか貯まらないはずです。
何も背伸びをする必要はないのですから、
家計に無理のない範囲で始めるようにしましょう。
当初は月々５０００円だったものが、
家計に余裕が出てきたので１万円、
さらに２万円などと積立金額を増やしていけば、
目に見える形でお金が貯まるスピードが加速するので、
頑張ろうという意欲も増すのです。
これが、背伸びをして最初に３万円から始め、
きついので２万円、２万円でも厳しいので１万円
などというように、積立金額を減らしていくと
お金が貯まるスピードにブレーキがかかってしまい、
なかなかお金が貯まらないばかりか、
あげくに積立貯蓄を止めてしまいかねないケースもあるのです。
アメとムチではありませんが、
自分自身にインセンティブを与えて、
細く長く続けられるシステムを作ることが重要です。
・貯蓄をするための目的を具体的にすること。
・家計における資金の流れを把握して使途不明金をなくす。
・アレコレ悩むよりもまず積立を始めることが大切。
・細く、長く積立貯蓄ができるシステムを構築しよう。
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